ほくろ
ほくろは、皮膚の表皮に存在するメラノサイト(色素を作る細胞)が局所的に増殖することで形成される良性の皮膚腫瘍です。見た目は黒や茶色の色素斑として現れることが多く、平坦なものや皮膚からわずかに隆起したものなど、さまざまな形状があります。
まれに悪性化することがあるため、急激に大きくなったり、色が不均一になったり、形がいびつになった場合は、専門の皮膚科医に診察してもらうことが大切です。ほくろの除去は、ほくろの大きさや状態に応じて、外科手術やレーザー治療を行います。
急激に大きくなったときは要検査
通常のほくろは良性の色素性母斑であることがほとんどですが、急に大きくなったり、色が濃くなったり、不均一な形状になった場合には注意が必要です。こうした変化は、悪性黒色腫(メラノーマ)という皮膚がんの可能性があります。
メラノーマは色素細胞ががん化したもので、進行が早いのが特徴です。しかし、早期に発見すれば、外科的に切除することで治療が可能です。ほくろが短期間で変化してきたと感じたら、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
ダーモスコピー検査
ほくろの良性・悪性の判断には、ダーモスコピー検査が有効です。ダーモスコピーとは、特殊な拡大鏡を用いて皮膚の奥深くまで観察する診断法であり、表面だけでなく皮膚の構造や色素の分布を詳しく確認できます。通常、肉眼では識別が難しい悪性の兆候をより正確に診断することができるため、メラノーマの早期発見に役立ちます。当院では、ダーモスコピーを用いた迅速で的確な診断を行っており、患者さんの不安を軽減しながら適切な治療を提供しています。
いぼ・アクロコルドン
いぼは、皮膚の表面にできる小さな隆起で、加齢やウイルス感染によって発生することが多い皮膚病変です。いぼの種類にはさまざまなものがあり、特に首やわきなどに多く見られる小さな皮膚の突起は「アクロコルドン」と呼ばれます。
また、脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)は、「老人性いぼ」とも呼ばれる加齢に伴う皮膚の変化の一つで、褐色や黒色の境界がはっきりとした良性の腫瘍です。これらは特に健康上の問題を引き起こすものではありませんが、見た目が気になる場合や、衣服に擦れて違和感がある場合は除去することも可能です。
自己処理を試みる方もいますが、悪化するリスクがあるため、専門医による適切な処置を受けることをおすすめします。
炭酸ガスレーザーでの除去(保険外診療)
当院では、脂漏性角化症やアクロコルドンに対して、炭酸ガスレーザーを用いた治療を行っています。この治療では、局所麻酔を施した後、炭酸ガスレーザーを用いて患部を蒸散させることで、いぼを取り除きます。液体窒素による凍結療法と異なり、削る深さを調整できるため、より繊細な治療が可能です。特に顔や首のいぼには炭酸ガスレーザーが適しており、1回の施術で完了することが多いです。施術後はかさぶたが形成され、14日程度で自然に治癒します。
治療後には一時的に炎症後色素沈着が生じる可能性がありますが、時間とともに薄くなっていきます。施術後は1週間程度、創傷被覆剤を用いて治療部を保護することで、より綺麗に治癒させることができます。
脂漏性角化症(老人性イボ)とは
脂漏性角化症は、加齢によって皮膚にできる良性の腫瘍で、「老人性いぼ」とも呼ばれます。発生の原因ははっきりとは分かっていませんが、遺伝や紫外線による皮膚のダメージが関係していると考えられています。
脂漏性角化症(老人性イボ)の症状
脂漏性角化症は、特に顔や頭部にできやすく、茶色から黒色をした隆起した病変として現れます。表面は滑らかなものもあれば、ざらつきがあるものもあります。最初は平らな状態で始まり、時間の経過とともに盛り上がってくることが多いのが特徴です。
炭酸ガスレーザーによる治療(保険外診療)
脂漏性角化症の治療には、炭酸ガスレーザーを用いた治療が効果的です。この治療では、局所麻酔(もしくはテープ麻酔)を施した後、レーザーで病変部を蒸散させて除去します。液体窒素による凍結療法に比べて、削る深さの調整が可能なため、より精密な治療が行えます。特に顔や首の脂漏性角化症には適しており、1回の施術で完了することがほとんどです。
治療後は、14日程度創傷被覆剤で保護し、色素沈着を防ぐために紫外線対策を徹底することが重要です。施術後の経過を見ながら、必要に応じてスキンケアの指導も行います。