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かぶれ(接触皮膚炎)

接触皮膚炎(かぶれ)とは

接触皮膚炎(かぶれ)とは
接触皮膚炎は、皮膚が特定の物質に触れることで炎症を起こす疾患であり、「かぶれ」とも呼ばれています。皮膚に赤みやかゆみが生じたり、水ぶくれや腫れを伴ったりすることがあり、症状の程度や現れ方には個人差があります。通常、原因となる物質が触れた部分にのみ症状が出るのが特徴です。
日常生活で使用する化粧品や洗剤、衣類、アクセサリー、植物、医薬品など、多くのものが原因となる可能性があります。特に、原因が明確な場合は適切な対策を講じることで症状を抑えることができますが、長期間にわたって発症するケースや、原因が特定できないケースもあるため、注意が必要です。

かぶれの原因

接触皮膚炎は、大きく分けて「刺激性接触皮膚炎」「アレルギー性接触皮膚炎」「光接触皮膚炎」の3つのタイプに分類されます。それぞれの原因や症状の現れ方は異なり、適切な診断と治療が必要になります。

刺激性接触皮膚炎

皮膚には外部の刺激から守るバリア機能が備わっていますが、その許容範囲を超える強い刺激を受けた際に起こる炎症が刺激性接触皮膚炎です。このタイプの皮膚炎は、アレルギーの有無に関係なく、誰にでも発症する可能性があります。
原因物質の濃度が高い場合は、触れてすぐに症状が出ることが多いですが、濃度が低い場合でも長期間にわたって繰り返し接触すると、次第に皮膚のバリア機能が低下し、炎症が現れることがあります。

アレルギー性接触皮膚炎

特定の物質に対して免疫システムが過剰に反応し、「体にとって有害な物質」と認識することで引き起こされる炎症がアレルギー性接触皮膚炎です。このタイプは、原因となる物質に対するアレルギーを持っている人にのみ発症するものであり、すべての人が同じ物質で症状を起こすわけではありません。
アレルギー反応が成立するまでには時間がかかることがあり、初めて接触した際には何も症状が出なくても、数週間から数か月後に突然アレルギー反応を示すこともあります。一度アレルギーが成立すると、その後はわずかな量の接触でも短時間で皮膚炎を引き起こすようになります。

光接触皮膚炎

光接触皮膚炎は、皮膚に原因物質が付着しただけでは症状が出ず、紫外線や可視光線が当たることで炎症が発生するタイプの皮膚炎です。「光アレルギー」とも呼ばれ、日光を浴びた部分に赤みや発疹が現れるほか、ひどい場合には水ぶくれやただれが生じることもあります。
化粧品や薬剤の成分が紫外線と反応することで症状が誘発されることが多く、特に日焼け止めや香水、外用薬などが原因となることが報告されています。

かぶれの原因となる物質

接触皮膚炎の原因となる物質は非常に多岐にわたります。日常的に使用する身近なものが原因になることも多く、短期間で症状が現れる場合もあれば、長期間にわたって接触を繰り返すことで発症することもあります。

原因となる物質例

原因カテゴリー 主な原因
金属によるもの ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなど。アクセサリー、時計、ベルトのバックル、眼鏡のフレーム、染料に含まれ、汗と反応して皮膚炎を引き起こす。
日用品によるもの ゴム製品、洗剤、手袋、靴下、下着、シャンプー、化粧品など。日常的に使うものでも接触皮膚炎を引き起こす可能性がある。
植物によるもの ウルシ、イラクサ、ブタクサ、ヤマハゼ、ドクダミ、イチョウなど。一部の植物に触れることで皮膚に炎症が起こることがある。
食物によるもの 二十日大根、里芋、しそ、アスパラガス、セロリ、桃、パパイヤ、パイナップル、マンゴー、柑橘類など。野菜や果物の汁や皮が刺激となり、皮膚炎を引き起こすことがある。
香辛料によるもの 唐辛子や生姜、コショウ、バニラなどのスパイス類も原因となることがある。

かぶれの症状

接触皮膚炎は、刺激物やアレルギーの原因となる物質が皮膚に触れることで、炎症やかゆみ、痛みを引き起こす疾患です。炎症が生じる部位は、直接触れた部分に限定されることが多いですが、手のひらのように皮膚が厚い部分では症状が出にくい傾向があります。そのため、手で原因物質に触れた後に顔や首、腕などの柔らかい部位に触れると、そこに症状が現れることがあります。
刺激性接触皮膚炎では、皮膚が赤く腫れ、かゆみよりもヒリヒリとした痛みを感じることが特徴的です。症状が軽い場合は、皮膚の赤みや角質のはがれ、細かい水ぶくれが生じる程度で済みますが、強い刺激を受けた場合には、大きな水ぶくれができることもあり、強い痛みを伴うことがあります。一方、アレルギー性接触皮膚炎では、かゆみを伴う発赤や腫れが現れ、時間が経つにつれて症状が広がることがあります。場合によっては、炎症が広範囲に及び、強いかゆみとともに皮膚がガサガサとした質感に変化することもあります。
また、アレルギー反応はすぐに発症するとは限らず、原因物質に触れてから数時間後、あるいは半日から1日後に症状が出ることも少なくありません。どちらのタイプの接触皮膚炎も、炎症が治った後に色素沈着が残ることがあり、特に繰り返し発症すると色が抜けにくくなることがあります。そのため、できるだけ早い段階で適切な治療を受けることが重要です。

かぶれの治療・予防法

かぶれの治療

接触皮膚炎の治療では、まず炎症の原因となる物質を特定し、それを避けることが最も大切です。原因物質が特定できている場合は、可能な限り接触を避けるようにし、もし触れてしまった場合には、すぐに石鹸を使って水でしっかりと洗い流すことが重要です。
症状が軽度であれば、患部を冷やしたガーゼで覆い、皮膚を落ち着かせることで症状の悪化を防ぐことができます。しかし、かゆみや炎症が強い場合には、ステロイド外用薬を使用して症状を抑える必要があります。外用薬の適用範囲は、炎症の程度や部位に応じて異なるため、自己判断での使用を避け、適切な治療を受けることが大切です。また、かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬を内服することで症状を和らげることができます。
症状が軽い場合は数日で回復することもありますが、改善が見られない場合や症状が慢性化している場合は、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。

かぶれの予防法

1.原因物質に触れない

日常的に皮膚が原因物質に触れる可能性がある場合には、手袋や長袖の衣類を着用することで直接の接触を防ぐことができます。例えば、洗剤や化学薬品を使用する際には、ゴム手袋を着用することで皮膚への負担を軽減できます。

2.肌を清潔に保つ

皮膚を清潔に保つことも予防につながります。汗や汚れが皮膚に付着したままになると、炎症を悪化させる要因となるため、こまめに洗い流すことが大切です。入浴時には強くこすらず、優しく洗うことを心がけ、洗浄後はしっかりと保湿を行い、皮膚のバリア機能を維持することが重要です。

3.掻かないようにする

かゆみがある場合でも、できるだけ掻かないように注意することが大切です。掻きすぎると炎症が悪化し、症状が広がるだけでなく、傷口から細菌が侵入して化膿するリスクもあります。特に、寝ている間に無意識に掻いてしまうことがあるため、かゆみがひどい場合には、抗ヒスタミン薬などを使用して症状を緩和することが有効です。

4.肌にあったものを使用する

日常的に使用する衣類やアクセサリー、化粧品、洗剤などの成分にも注意を払い、自分の肌に合ったものを選ぶことが大切です。特に金属製のアクセサリーは、汗と反応して炎症を引き起こすことがあるため、ニッケルやクロムなどの含有量を確認し、肌に優しい素材のものを選ぶことが望ましいです。