巻き爪・陥入爪とは?
巻き爪と陥入爪はどちらも爪が変形する症状ですが、それぞれ異なる病態を持っています。巻き爪は爪が全体的に湾曲していく状態で、必ずしも痛みや炎症を伴うわけではありません。一方、陥入爪は爪の角が皮膚に食い込み、強い痛みや炎症を引き起こす状態を指します。両者は別々の疾患ですが、同時に発症することもあります。
巻き爪とは
巻き爪は、爪が異常に湾曲し、内側へ巻き込んでいく状態です。特に足の親指に起こりやすく、靴の圧迫や歩き方の影響で悪化することがあります。通常、立ったり歩いたりすることで爪に適度な圧力がかかり、まっすぐな状態が維持されます。しかし、寝たきりの方や車椅子を使用している方など、足に十分な圧がかからない状態が続くと、巻き爪が進行しやすくなります。痛みや出血がない場合は、特に治療の必要はありませんが、強い違和感や痛みを感じる場合には適切な治療が必要です。
陥入爪とは
陥入爪は、爪の端が皮膚や皮下組織に食い込み、炎症や化膿を伴うことが多い疾患です。特に足の親指に発生しやすく、皮膚に刺さった爪が圧迫されることで、赤みや腫れ、強い痛みを引き起こします。炎症が悪化すると、肉芽と呼ばれる組織が盛り上がり、細菌感染を引き起こすこともあります。進行すると歩行困難になることもあるため、早めの対処が重要です。
巻き爪・陥入爪の原因
巻き爪の原因
巻き爪は、爪に適切な圧力がかからないことが主な原因です。合わない靴を履いて爪が過剰に圧迫されたり、逆に圧力が不足したりすると、爪の湾曲が進行します。特に、ヒールの高い靴や先の細い靴を履くことで、指先に負担がかかりやすくなります。また、深爪を繰り返すと、指先の皮膚が盛り上がり、巻き爪が悪化しやすくなります。歩行時のバランスが崩れ、親指に適切な力がかからないことも巻き爪を引き起こす要因となります。
陥入爪の原因
陥入爪の主な原因は、不適切な爪の切り方です。爪の角を深く切りすぎると、新しく伸びた爪が皮膚に食い込みやすくなります。一時的には痛みが和らぐものの、再発を繰り返しやすくなり、症状が悪化することもあります。また、生まれつき爪のサイズが指に対して大きすぎる場合や、靴やストッキングによる過度な圧迫が原因となることもあります。
巻き爪・陥入爪の診断
診断は皮膚科や整形外科で行われます。爪の変形の程度や、炎症の有無を視診や触診で確認し、適切な治療法を選択します。特に陥入爪では、感染や炎症の進行度を判断し、抗生剤の使用や手術の必要性を検討します。
陥入爪・巻き爪の治療法
保存療法
軽症の巻き爪や陥入爪では、保存療法を行います。適切な爪の切り方の指導や、爪の形状を矯正する処置が中心となります。
形状記憶合金プレート
を用いた方法
爪に形状記憶合金のプレートを装着し、プレートの張力を利用して爪の湾曲を矯正します。痛みが少なく、日常生活に支障をきたさないため、巻き爪治療の第一選択として広く用いられています。
外科的治療
巻き爪や陥入爪が進行し、歩行が困難になるほどの痛みや炎症がある場合は、外科的治療が必要になります。
陥入爪手術
陥入爪手術には2つの方法があります。
フェノール法は、陥入爪の治療に用いられる方法で、爪の端を切除し、爪母(爪を作る組織)にフェノールという薬剤を塗布して再発を防ぎます。比較的簡便な手術で、再発率が低いのが特徴です。
爪母形成術(児島法)は、直視下で爪母を切除し、縫合する方法です。確実に爪の食い込みを防ぐことができるため、重症の陥入爪に適しています。
巻き爪手術
爪母爪床形成術を行います。爪床を皮弁として挙上し、突出した骨を削って爪の形状を整えます。根本的な矯正は可能ですが、高度な技術を要するため、専門医のもとで行う必要があります。